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2006年12月30日: アコーディオンのメッカ、カステルフィダルドを往く NO-7 最終章

アコーディオン工場訪問。 

今、USAを中心に人気のメーカーBELTUNA。音量、音色に優れておりしかも軽量化を
はかってきている。 このベルトナの工場は1000年の歴史をもった城砦都市カステル
フィダルドの中心部から数キロはなれたゆるやかな低地にあった。
一帯は区画された広い工業団地になっている。南にむいてわずかにゆるやかな斜面
が続く。そのさきはレカナティの方角か。

morning_parco.jpg

まだ朝早い時刻に、工場には人気もまばらだ。オーナーであり、アコーディオン業界の著名
な調律師のメンギーニ氏と彼の息子であり営業責任者のジュニア・メンギーニが待って
いてくれた。
きれいな工場だ。そう大きくは無いが奥行きで60~70m幅40mはあろうか。

factory_birdsview02.jpg

factory_bv02.jpg

アコーディオン工場には大きく7つの区画がある。
製造順序でいえば
(1)木材の保管; これはアコーディオンの主要部材、リードブロック、キーボード、キー
やその他の木製パーツをとり出すための木材である。数ケ月、数年にわたって保管され
乾燥率15%程度に均一に維持して共鳴、ねばり、強度をあわせもった材料をつくりだす。
(2)木工旋盤; 正確な寸法に規則正しくかんながかけられ、のみが走る。アコーディオン
は組み木細工ににている。複数の種類の木材を使い分け、張り合わせて全く新しい機能
の部品が出来てくる。リードブロックの拡大図がその例。 (写真)
(3)木材塗装; 下地を塗り、滑らかに削ってはまた塗る。スプレー塗装は塗装の仕上げ
工程。セルロイド貼りは塗装のかわりに、いまでも多くの工場でやっている主流の仕上げ
方法でもある。
(4)リードの一次調律:工場の心臓部。リードはそれぞれの工場では作ってはいない。
専門のリード工場(下請け)に発注したリードをここ、工場で専門の調律師が顧客の要請
や、その機種のスペックにあわせて一次調律を行う。
ちょうど日本のそば打ちの「実演コーナー」のような2方ガラスの防音小部屋で、私も使って
いるUSAの調律機でデータをみながら手早く削っていく。
早い技だ。
(5)レザー、ワックスがけ: 調律されたリードをプレートごとブロックにワックスどめしていく。
(6)組上げ: リードやボタン、キーを組み付ける。
(7)出荷まえの二次調律: リードは楽器として組みあがると、単体のときより、わずか
に周波数が変化する。レザーの状態で音の性格が変化することもある。 
出荷前に組みあがった状態で音程やうなりを確認し、わずかに調整を加える。

wood_driyerroom.jpg

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tuning04.jpg

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amplisound03.jpg

以上がアコーディオン工場の主要な工程だ。ほとんどの部品、工程が職人の手による
ものだ。
一体いくつの部品があるのだろうか。 誰も数えたことがないそうだ。分かりやすい金属
部品でいえば。
リードセットだけでも HMMLのアコーディオンには 高音部 4種×41音程×2(押引き)
で 328セット。 低音部 5種×12音程×2(押し引き)で 120。実に 448セットもの
リードが組み込まれている。 バスのメカニズムにいたっては荘厳なほど精密になっている。
120のボタンにはそれぞれバルブ開閉のロッド(心棒)が複数セットされしかも120種類
皆、違う構造になっている。
キーにはキータッチを決めるスプリングが、軸棒がはたまたバルブパッドロッドが、数ミリから
何種類ものネジ、特殊留め具。こういった金物にくわえ、無数の木材片をどうカウントできる
だろうか。

block_normal001.jpg
block_walnut001.jpg


異種の材料を貼ってあわせ、経年によるそり、ゆがみが出ないよう注意深くつくられている。
響き、音量、持続性に加え。木材工性さらに経年変化への対応力と職人が考え、あみだし
た技術にはすばらしいものばかりだ。1台のアコーディオンはそれ自体が工芸品であり
知恵の結晶でもある。

最盛期、それをアコーディオンのGOLDEN AGES黄金期と呼ぶ。1960年台にはここ
カステルフィダルドの対米輸出数は月5万台をこえた。年60万台だ。想像をこえる多く
の職人が木材を削り、貼り合わせ、セルロイドを貼り、リードやキーを組みあげてアコー
ディオンをつくった。

2006年。職人のその手作業をこの眼でしっかと見た。遠くからみつめる悠久の歴史に
生きた今は亡き数多くの職人の熱気の断片が工場にはあふれていたようにも感じる。

アコーディオンを修理調律するわが身には、確認の旅であり感謝の旅だった。
私、アクトベイドットコムの原田は今日も4坪に満たない狭い工房で周波数を合わせリードを
調整する。  想いははるかカステルフィダルドの工人たちに向かう。
rep_tune05.jpg

 (写真にはその他複数の工場のカット、資料カットを使用しています。写真内容は版権、技術情報が含まれていますので全ての画像はコピー禁止いたします。詳細はwebmaster@act-bay.com にお問合せ下さい。)

投稿者 harada : 2006年12月30日 03:58
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